コスメから湘南の地産地消をデザインする。(前編)
~湘南石鹸(しょうなんせっけん)~

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「石けん作りは、とってもクリエイティブ。私にとってデザインの延長線です」
-自らを「石けんクリエーター」とも名乗る川村さんは、元デザイナーという異色のキャリアを持つ。石けんだけでなく、パッケージから店頭に飾るセールス用のポップにいたるまで、すべて自分でその世界観を企画・設計し、実際のデザインを手がける。
そして、「湘南石鹸」というモノ創り活動を通じて、コスメ領域で新しい「湘南」ブランドを世の中に発信し続けている。
もともとデザイナーだったという川村さんが、なぜハンドメイド石けんのビジネスを手がけるようになったのか?ハンドメイド石けんに込めた想い、そして今後の展望についてうかがった。

川村 耕士(かわむら こうじ)

湘南石鹸代表/石けんクリエーター

プロフィール)1963年生まれ。ファンケル化粧品、ナチュラピュリファイ化粧品(オーガニックコスメ)など数多くの化粧品会社に在籍、スキンケアに携わることから、石けんの良さに着目。自身の経験と知識を活かす人生の集大成として、湘南の地産原料にこだわった石けんをプロデュース。酸化防止剤、安定剤、調整剤等は使わず、素材の良さを活かせる低温でつくるコールドプロセス製法で作られたクラフトメイド石けんは、リピーターが多く、業界内でも注目を集めている。


もともとはデザイナー志望でした。

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–まず、川村さんの経歴を簡単に教えてくれますか?はじめからコスメ業界で働こうと思われていたのでしょうか?

川村:もともとはデザイナー志望です。デザイン学校を卒業して、印刷の仕事を7年ほどした後、ファンケル化粧品のデザイナー人材募集に応募してこの業界に入ったのがきっかけです。当時のファンケルは藤沢のお隣り大船に本社がありました。

–ファンケルさんではどんな仕事を手がけていたのでしょうか?

川村:当時のファンケルは、化粧品の通販という販売業態でしたので、お客様に伝える紙媒体のコミュニケーションツールの制作を担当していました。
その後に、新規事業として健康食品事業に参入。販売チャネルを拡販するセールスプロジェクトに希望配属していただきました。

–プロジェクトチームではどのようなことを?

川村:はじめは、店頭に商品を陳列するディスプレイ什器や店頭POPのプランニングでした。什器を制作した時には、平面の2Dから立体という3Dの制作だったのでとても勉強になりました。さらに事業部は4名での立ち上げだったので、取引先が増えることで、私も販売営業としてファンケルマンに変身していきました。(笑)コンビニエンスやGMSなどの取引先の開拓や、店舗での販売支援をやって九州から東北、北海道まで全国各地を休みなく飛び回りました。

–デザイナーなのに営業をやることに違和感はありませんでしたか?

川村:私自身、将来は小さくても事業を起こしたかったのでこれは良いチャンスだと思いました。マーケッティングの中でも「売る」=セールスと「物流」=ロジを学ぶことは重要でした。せっかく手を挙げて入ったのだからいろんなことを経験させていただこうと思ってがむしゃらに取り組みながら、自分の営業スタイルをつくりました。
実際、販売の現場に行くと、どんなディスプレイや什器がいいかとか、販促デザイナーとしてのノウハウが必要となってくるので、店舗からは重宝がられたようです。(笑)ただ、一番大切だと思ったのは、ファンケルの看板を背負っているので、自分の行動や、言葉はすべてファンケルイズムで無ければと自覚することです。

–その後はどのようなキャリアを?

川村:ファンケルで働いた後、デザイン会社に転職し、さらに銀座で全国100店舗を運営する「RAJA」に転職。ヒーリングサロンのブランドコミュニケーターとして、トップダウンで仕事をしていました。直接に経営者と事業を進めながら経営についても指導を受けました。そこでも、新規事業でコスメ事業に参入することになり、ファンケル化粧品にいた知識がありオーガニック化粧品ブランド「ナチュラピュリファイ化粧品」の事業立ち上げスタッフになりました。

–ナチュラピュリファイ研究所さんではどのような業務を具体的にやられていたのですか?

川村:もう、なんでもありです。(笑)少人数の会社で、かつ新しいブランドの立ち上げスタッフということで、商品デザインから販売、販促、展示会までなんでもこなしました。ですが、ここで力尽きたというか大きな達成感がありました。学ぶことの終わりです。

ハンドメイド石けんとの出会い。そして湘南の塩との出会い。

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–いつ頃から自分で石けんを作るようになったのですか?

川村:ナチュラピュリファイ研究所に在籍していた時に、ハンドメイドの石けんがある、というのを口コミで知ったのがきっかけです。千葉のおばあちゃんが作った手作りの石けんなんですけどね。初めて使ったときは「こんな石けんもあるのだ」と感動しました。そして、雑誌で肌にやさしい手作り石けん特集を見て、私も自分で作ってみようと本を見ながら独学で始めました。

–それは仕事として始めたのですか?

川村:いえ、まったくの趣味です。(笑)実は私、極度の敏感な乾燥肌です。まずは自分のためのやさしい石けんを作ろうと思いました。
皮膚科の先生からは皮膚には海塩石けんがいいと聞いていたので、湘南の塩を使ったハンドメイド石けんを作ってみたらと考えたのです。

–湘南の塩ですか?

川村:はい、実は、湘南で塩を作ってらっしゃる方が一人だけいます。逗子・小坪の天然「海塩」という湘南唯一の手作り塩で、沖合海底から汲み上げた海水を、薪釜で炊き上げている天然の海塩です。
自分向けに作りはじめた石けんなのですが、ぜひこれをもっと多くの人に広めたいと思って、この海塩を作っている方に了承をいただこうとお願いしたのですが、「この塩は食べるために作ったものなので」と最初はまったく聞く耳をもっていただけなくて。

それからというもの、近況を兼ねてラブレター(苦笑)を出してですね、1年かけてやっと許してもらえました。今では、その塩職人の方にも私の石けんを使っていただいております。
そこから、湘南の雑貨屋さんで私の手作りの雑貨石けんを扱っていただけるようになって、仲間からも「これ、売れるんじゃないの?」と言ってもらえ、よし、これで独立してみようと、会社を辞めて湘南石鹸を個人事業として立ち上げたのです。ブランド名も、湘南の海塩石けんなので、安易に「湘南石鹸」って名付けました。

 

後篇に続く。

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