日本のシリコンバレーを目指す「創発」事業 (後編)
〜創発事業家 世良信一郎〜

前編はこちら

東京から藤沢、そして徳島

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ーー徳島へはどういった経緯で?

出身なんですか?って良く聞かれるんですが、全く関係ないです(笑)。

特許事務所時代に仲良くしてもらっていたベンチャー企業が、徳島の神山町にサテライトオフィスを作るという話があって、すごい面白いから遊びにおいでって誘われたんです。

で、実際遊びに行ってみたら色々セッティングされてて。遊びのはずが県庁にご挨拶に行ったり、ベンチャーの副社長が僕を売り込んでくれたりで。ちょうど県も新規事業をサポートするコーディネーターを探していたらしく、徳島と東京をつなぐハブ的役割のできる人ということで僕の名前が挙がったようで、突然契約まで決まって、徳島へ行くようになったんです。

ーー神山町はIT系ではちょっと有名ですよね

行ったことあります?ド田舎ですよ(笑)
人口も6千人しかいない、限界集落ですよ。けどなぜかそこにいる人達が濃い。
そういう人達とどんどんつながっていって、地域で面白いことやる母体を作ろうって話が上がって。そうやって作ったのが、一般社団法人キキーキャートです。

ーー個性的な法人名ですね

徳島の三好に猿がいる谷があるんですけど、そこの看板に「猿がキキーと鳴いたら、もう一匹の猿がキャーと鳴いた」っていうような内容が書かれてて、「キキー」と「キャーと」でコレにしよう!ってなったんです。バカっぽいですけど意味があって、「キキー」は起業家が助けを求める声、「キャート」は僕らは支援する側の答え。つまり「キキーキャート」でベンチャー支援を表現してます。100%後付ですけど(笑)。

ーーちなみに、東京での法人「株式会社イーフープ」にもなにか理由が?

これ、あまり話して無いんですけど、昔支援していた学生ベンチャーの会社なんです。

色々あって彼らは会社たたんで就職することになったんですけど、いつかはまたやりたいって言うんで、僕もちょうど個人事業主から法人設立しようとしていたところだったので、じゃあ僕が引き継ぐからいつか帰っておいでよ、ってことで、この社名をそのまま使っています。

ビジネスのミット打ち

p7

ーーここまで聞いてくると、世良さんが一番「持ってる感」があるんじゃないかと

ツイてるのかもしれないし、ご縁なのかもしれないけど、そういう出会いは最大限大切にしようと心がけてます。ただ、そういう出会いや相談があった時に自分なりの価値を付加して返そうっていうのは意識していて、そのためにミット打ちをよくやります。

ーーミット打ち?

ビジネスのミット打ち。起業家はアイデアはいっぱい持ってるんだけど、どれもまだモヤッとしてるんです。そういうアイデアを打ち込めるトレーナー的な役割が僕の仕事なんです。
このミット打ちの時に、「右フック甘いよ」って返すだけじゃなく、僕のアイデアを足して返すようにしてます。

人と出会い、繋ぐ

p8

僕の足すアイデアには「人」も重要で。内容によっては、僕じゃ解決できないけど、この人だったら出来る、とか、ベンチャー同士くっついたら面白いとか。人を繋ぐってことにはものすごい価値があって、だからこそ色んな人達に出会って常にそうしたアイデアを考えています。こういう根本の考えが場やコミュニティーを作ることにつながってます。

ーー人との繋がりをどう維持していますか?

一番は、お酒が大好き(笑)ってことですかね。一緒にお酒飲んだら仲良くなれるじゃないですか。

異業種交流会には行かない

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ーーそうしたお酒を飲む場に積極的に参加してますか?

ナチュラルにそうなってますね。ただ選ぶようにはしてます。行かないのは「異業種交流会」。過去に何度も行ったことはありますし、名刺もたくさん交換しましたけど、僕の人脈になるような出会いは無かったです。なんで異業種交流会がダメかって、みんなビジネスに繋げようとおもって参加するんだろうけど、よく考えると仕事を発注する時ってその人との人間関係が出来上がっている前提だと思うんです。異業種交流会で名刺交換した程度の人にまず仕事は頼まない。もっと良く顔合わせるようなコミュニティーじゃないとダメで、それで「湘南Apps!」コミュニティーを立ち上げたんです。

ーー「湘南Apps!」について詳しく教えて下さい。

湘南Apps!」はかれこれ3年くらいやっているんですが、NEKTONで土曜の夜、バーと言う形でやってます。同じ仲間になれそうな人達が集まる仕掛けをしていきたいなーと思っています。お酒飲んだら仲良くなりますしね(笑)

構想はイノベーションビレッジ時代からあって、日本のシリコンバレーになるには、出会った2人が意気投合してベンチャー始めたり、仲良くなって仕事ふったり、そういうことが自然発生するような場が必要だろうと思ってました。

この「湘南Apps!」はNEKTONで開催してますが、そもそもこのNEKTON自体が「湘南Apps!」のプロジェクトだったんです。三浦さん(フジマニ代表)も湘南Apps!メンバーですので。
NEKTONプロジェクトは当初、喫茶店の空いているスペースを押さえて使うようなサービスを考えていたんですが、やっぱり拠点がほしいよねってことになって、それなら三浦さんやっちゃえって、NEKTON FUJISAWAができたんです。

カフェをシェアする「シェアカフェ」

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ーーNEKTONの他にもコワーキングを運営されていますよね?

最初にやったのは四谷のFroh Coworkingというコワーキングとシェアカフェのスペースです。ここのエッセンスをNEKTON FUJISAWAに活かそう、ということで、NEKTONでもシェアカフェシステムを導入してます。

ーーシェアカフェというのは?

日替りマスターのようなカフェのキッチンをシェアする仕組みです。カフェのマスター側も意外と需要があるというのは四谷で実証済みだったので、NEKTONにも取り入れました。

ーーシェアカフェの良い所は?

ドロップイン・スタイルの利用料収入モデルは、どうしても売上に波が出ます。だけど、月極のキッチンシェアが昼と夜に入ってくると、定期的な収入源となって経営の安定化が計れます。

これからカフェをやりたいマスターには、良い実践の場となるし、カフェには定期収入とマスターが持っているお客さんを獲得出来るチャンスだし、お互いにとても相性が良いシステムだと思います。

「目利き力」を磨く

p11

ーー創発事業や、ベンチャー支援の仕事で大事なことってなんでしょう?

「目利き」ですね。これからベンチャーやる人とか企業する人って、どうなるかわからない。ものすごい成功するかもしれないし、失敗するかもしれない。種の段階では成功も失敗も可能性でしかない。その中で本当にこの人はモノになるっていうのを見極める力を「目利き力」って言ってて、この「目利き力」を磨こうとしてます。

ーー目利きの上で、ここは見とけってポイントはありますか?

爪とか靴とか時計とか、まとめサイトに載っているようなことは何一つアタリじゃないです(笑)このキーワードを言ったからダメとか無いですよ。

実際に会って話して、その会話やその人のオーラっていうのかな?これもその人の「持ってる感」だと思うんですけど、そいうところから感じて、見極めるっていうことをしています。
人ってどうしても持ってる生き様とかが出ちゃうものなんです。
この人止めたほうが良いなって感じる人は、他の支援家も同じこと言うし、やっぱり会話してても、話しのベクトルが違うっていうか、会話が噛み合わない。これは好き嫌いじゃなくて、何か合わない感じがするんです。

ーーこれから企業する人達へ「目利き」のアドバイスを

パートナーを選ぶ時には、その人自身を知ること。その人のことが本当に好きっていう相手を選ぶこと。肩書や経歴だけで判断すると、たいてい失敗します。

ーー最後に、世良さんにとって「湘南で働く」とは?

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ーーありがとうございました!

(この後、編集部みんなで「湘南Apps!」へ参加しました。その時の模様はfacebookで!)

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