日本初、沖縄純黒糖専門カフェ/黒糖の魅力を伝えたい(前編)

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沖縄では一般的な甘味料である「黒糖」。黒糖の原材料であるサトウキビの中から、1番糖度の高いと言われる、年末から年明けに刈り取ったもののみを、煮詰めて作られるのが「純黒糖」である。現在、沖縄の純黒糖は八つ離島(伊平屋島・伊江島・粟国島・多良間島・小浜島・西表島・波照間島・与那国島)でのみ製糖されている。同じサトウキビを使って作られる純黒糖でもその島ごとに、個性豊かな味わいがあるという。

いつかは独立したいと考えていた大森さんは、サラリーマン時代に、休暇で出かけた沖縄で純黒糖に出会い開業を決意。2012年4月に、茅ヶ崎で沖縄純黒糖専門の和カフェ「黒糖茶房」をオープンした。「色々調べたのですが他になさそうなので、たぶん日本初だと思うんですよね。」と控え目に語る大森さんに、黒糖との出会いから、店舗運営のこだわりまで、お話を伺ってきた。

 

大森健司(おおもり けんじ)

沖縄純黒糖和カフェ「黒糖茶房」オーナー

プロフィール)

1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、スキー用品メーカー勤務、スキー民宿でのアルバイト、スキー用品販売店の仕入れ、店長などを経験した後に、日本初の沖縄純黒糖専門の和カフェ「黒糖茶房」を開業。日本茶インストラクター。趣味はスキー、ボディボード、ゴルフ。
好きな言葉「no ski(snow) no life」「謙虚であれ!」

Web Site: 沖縄純黒糖専門和カフェ「黒糖茶房」

 


 

日本初!です。たぶん!(笑)

 

--まずは、読者の皆さんに「黒糖茶房」の紹介をお願いします。

大森:名前の通り、沖縄純黒糖専門の和カフェです。デザートだけではなく、飲み物のお茶うけやランチのメニューにも、全てのメニューに沖縄産の純黒糖を使用しています。いろいろ探してみたんですが、他になさそうなので「日本初の沖縄純黒糖専門カフェ」です。たぶん(笑)。
全国的にはあまり馴染みがないのですが、沖縄では、黒糖は一般的な甘味料です。スーパーに行くと沢山の種類の黒糖が売られていますよ。良く市販されている黒糖は、黒糖に砂糖を追加した「加工黒糖」ですが、「黒糖茶房」で扱っている黒糖は100%天然の「純黒糖」です。口の中に入れると、落雁の様にさらりと溶ける口触りが特徴ですね。

 

--もともと飲食のお仕事をされていたのですか?

大森:いえ。飲食は初めてなのです。
大学を出たあとは、スキーが大好きだったこともあって、スキー関連用品のメーカーに就職しました。5年間ほど働いていたのですが、スキーの宿をやりたい!と思って、その会社を退職して、スキー客相手の民宿で働くことにしました。もちろん、いつか自分で宿をやるための修行も兼ねてです。
民宿で2年ほど働いていたのですが、バブルがはじけてスキーブームも下火になり、民宿の経営も難しい状況になってしまいました。そんな時に声をかけていただき、今度はスキー用品の販売店で働くことになりました。その販売店には、10年ほどお世話になったのですが、仕入れの責任者や、店長まで任せていただけるようになりました。店長としてお店全体を見ながら、売り場作りなどを経験するうちに、また独立して自分のお店を持ちたい、、と思うようになりました。

 

沖縄・黒糖との出会い

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--スキー用品の販売店の後、再び独立へ?

大森:そうですね。販売の仕事は楽しかったのですが、いつの頃からか「このままだと独立出来ない」ということを考えるようになっていました。それで、自分のお店を持つことを目標に、そのための資金作りとして三回目の転職をしました。印刷物用の紙を、印刷会社さんに卸す営業の仕事でした。久しぶりに、スーツを着て仕事するサラリーマンをやりました(笑)。

 

--そのころにはカフェとか黒糖とか、決めていたのですか?

大森:決めてませんでした。飲食もいいかなあ、位には思っていましたが。黒糖との出会いは、スキー用品の販売店にいた頃です。スキー業界は、夏がオフシーズンで休みも取りやすいので、沖縄には何度か行っていました。そのときとある琉球料理屋さんで食べた「タンナファンクルー」というデザートが凄く美味しかったのです。
その後、たまたま沖縄の店頭で見かけて、パッケージを見たら原材料も非常にシンプルでした。それで、自分たちでも作れるぞ!と思ったんです。作ってみたら本物とはほど遠いモノでしたけど(笑)。それで逆に火がついて・・。絶対にタンナファンクルーを作ろう!と決心して何度もチャレンジしたのですが、うまく行かない。調べていくうちに、原材料の黒糖が違うのでは?というところに行き当たったのです。

 

--シンプルなだけに、原材料の違いが大きかった?

大森:大きいですね。そもそも加工黒糖と純黒糖で全然違います。製法自体はほぼ同じなのですが、原材料のサトウキビが、土地の気候や土で変わってきますから、沖縄の黒糖が他の土地の黒糖と違います。しかも、沖縄の島ごとに、味わいもだいぶ違うことに気がつきました。

 

パーっと灯りがついた感じです!

 

--黒糖がフォーカスされてきましたね。

大森:原料(さとうきび)は同じだけれども、黒糖になると味が違う。健康志向にも合っている。そのままで食べても美味しい。沖縄ほどではないですが、私の住んでいる茅ヶ崎でも、スーパーで数種類の取り扱いはある。甘味料ですから、和菓子店や洋菓子店でも、だいたいラインナップの一つには入っている。居酒屋でも黒糖梅酒はもう定番ですよね。これは面白い食材だぞと思いました。「ワインと同じだ!」って。パーッと灯りがついた感じです。これだ!!って感じで、すぐにお店のコンセプトシート作りを始めました。

 

--そこから「黒糖茶房」開業への準備が始まるんですね。

大森:そうです。コンセプトシートの段階で、現在の黒糖茶房にかなり近いイメージでした。自分のイメージも膨らんできて、もう現地に行くしかない!と思って、沖縄県黒砂糖協同組合に「黒糖専門店を作りたいので協力してほしい」と電話しました。もちろん、ツテは何もないので、ネットで見つけて飛び込み電話です。
その沖縄県黒砂糖協同組合で色々お話を伺って、黒糖工場にも行きました。実は、工場に行っても黒糖は売ってもらえなかったんですけどね。(黒糖が)販売代理店制の流通だということを現地に行って初めて知りました。

 

--黒糖の仕入れにも色々ご苦労があったようですね。

大森:まだ、お店も出来てないですから、信用もないですしね。最初は多少不利な取引も仕方ないと覚悟はしていたのですが、仕入れ先はなかなか見つかりませんでした。そもそも原料のサトウキビの生産者が高齢化で減少傾向にあり、毎年の生産量も、気候の影響が大きく不安定だということも分かってきたり・・。
お店を作ることが出来るのか、不安になることもありました。でも、諦めるわけにも行かないので、その後も色々な人に会って情報を集めていきました。最終的には、どうにかやれそうだなというところまで行けましたが。

 

--どうやって仕入れルートを作れたのですか?

大森:飲食だけではなく、お菓子の販売も考えていたので、黒糖菓子メーカーさんにも相談に行っていたのです。そのお菓子の取引の中で、黒糖も卸していただけることになりました。そこは本当に助かりました。
沖縄の方にとっては、(黒糖は)当たり前のものだから、県外の人間が黒糖専門店をやりたい!と言ってきたことに、興味をもっていただけたようです。「黒糖にはこれだけ付加価値があって、いろんなアプローチが出来ますよ」という私のメッセージを汲んでいただけたのかなと思います。本当に嬉しかったですね。

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後編に続く。

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